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和食を伝え継ぐとはどういうことか : 地域がそだてた食のしくみと技に学ぶ
- 著者名木村信夫著
- 出版者農山漁村文化協会
- 出版年2017.3
貸出・返却・予約状況
- 貸出状況
貸出可能
- 所蔵数1
- 貸出可能数1
- 予約数0
- 貸出累計0
所蔵事項
- 登録番号0072859
- 請求記号383.8//Ki39
- 貸出区分通常
- 蔵書区分図書 - 一般図書
書誌事項
- 書名和食を伝え継ぐとはどういうことか : 地域がそだてた食のしくみと技に学ぶ
- 書名ヨミワショクオツタエツグトワドウイウコトカ
- 出版地東京
- 出版者農山漁村文化協会
- 出版年2017.3
- 目次序章 食で子どもたちに「宝の循環」を
◆昔の食への若者たちの共感
◆三〇年前のアピール「食べものと農業が地球を救う」
チェルノブイリ原発事故 / 子どものアトピー / 世界の子どもたちの飢えと自然の荒廃と / 相反する二つの方向
◆今、「貧困-不健康の負の循環」への不安
◆「日本の食生活全集」とは何だったかー書評より
石毛直道氏「日本人の食事生活に関する最大の記録集」/ 富岡多恵子氏「文学的感動を覚える」/読者によって全集の意味づけが豊かに
◆「地域の食」で子どもたちに「宝の循環」を
広かった文化現象、食の掘り起こしと伝承/ 地域のライフスタイルから「宝の循環」
第1章 発見「地域の食」という宝もの
1「和食」とは地域の食文化
ユネスコ無形文化遺産の「和食」
食文化の最大級のデータベース「日本の食生活全集」
全国三五〇地域、五〇〇〇人の古老から聞き書き
大正から昭和初期の食生活を記録、再現
女性だけでなく男性も重要な語り手
2生産と生活一体の営みとして食を捉える―「日本の食生活全集」企画の問題意識
農業近代化で失われる農家の自立
生産と生活を分離してはならない
自然も人も豊かになり、健康的な食を実現していく道
輸入国日本だけでなく、輸出国の矛盾拡大
自立の道は、食から壊されるーMSA小麦
世界に類のない土地利用 米麦二毛作の崩壊
日本の麦食文化か、欧米流のパン食に
味覚も外部食材でつくられる
企画のスタート、岩手の食でモデルづくり
先行した「人間の原点二を探る地域調査(農文協文化部)
3 「地域の食」の個性と豊かさ発見
(1)同じ岩手でも、地域によって食は違う
五つの地域に分けて調査 / 地域による違いと、共通する主婦たちの思い
(2)岩手県北 *雑穀と麦と大豆の食文化
ふだんのご飯はひえ中心の二穀飯、三穀飯 / 10を超えるそば料理-わんこそばだけがそばではない / 忙しい日常と、晴れの日で技を使い分け / 稲作に先行する畑作食文化の役割
(3)岩手県央 *米麦の多彩な利用
米を食い延ばす麦飯、大根かて飯 / 米・小麦の粉食「しとねもの」 / 米粉料理の楽しみがたくさん
(4)岩手県南 *水田地帯に花開くもち文化
10種類を超えるもちの食べ方 / お米、もちを食べる心意気
(5)同じ地域、村内でも雑穀型と米麦型がある
三陸沿岸 *三穀飯とめのこ飯、季節の海の幸 / 奥羽山系沢内村北部 *雑穀食と山の幸 / 奥羽山系沢内村南部 *にしん・はたはたの飯ずし
(6)米のもつ大きな力、それを活かす「地域の食」
海の魚を米で保存 / 外からの食材を地域に馴染ませる / 米飯はあらゆる産物をひきつける
4 地域による豊かさ、貧しさはない
どちらが豊かか? 味噌の味で比べると
こうじか入った味噌がおいしい
どちらが豊かか? 豆腐で比べると
大豆は馬とも分かち合って食べる
世界どこにも地域の食文化
5 食が、地域自然を守り持続させる
雑穀・大豆文化を生んだ畑と山の輪作
壮大!・80年サイクルで自然を育て暮らしをつくる
もち文化を育てた水田環境の多様性
晴れ食・年中行事は、産物と技の伝承装置
食の地域性とは「人と自然のつながり」の個性
6 地域にこそ本当の食の言葉がある
「くるみ味」-食べ歩きにはないおいしさ表現
子どもは地域で「食の階段」を上がって成長
食べものの呼び方も地方の言葉で
「いける」という言葉から地域発見
7 食が地域アイデンティティを育てる
小学生が地域の誇りに選んだ「納豆汁」
一年間、宝の食材をためて料理しふるまう
人びとの共感、つながりが生まれる
第2章 おばあさんから聞き書きした「地域の食」の魅力―「日本の食生活全集」が伝えるもの
1「日本の食生活全集」は何を描き伝えるか
食べもの・食生活の総体を捉える
「庶民の生活思想」を浮きぼりにー食糧・環境問題を解決するおおもと
2 「食」を地域に分けてみる
いま残したい、地域による食の多彩さ
食の地域性の成り立ちと地域区分
①食べもの・食べ方による区分 / 2風土性による区分 / ③歴史性によ区分
『岩手の食事』の地域区分
『東京の食事』の地域区分
▼世界最大都市・江戸は生産とつながるリサイクル都市
▼乳肉食、西洋野菜の受入れの基礎をつくった東京農業
▼個性豊かな東京の「地域の食」、その地域区分
「わが地域の食」の掘り起こしへ
3 古老からの聞き書きのおもしろさ
食の総体を描くために
伝統的な食生活の成り立ち
「地域の食」を本にまとめる目次だて
同し食べものを三つの角度から聞く
大根ひとつでも、すごい世界が現われる
食の奥深い営みがみえてくる
4 「四季の食生活」が描く世界
主婦は収穫物のすべてを頭に入れて食事づくり
冬から春へ、多忙期を乗り切る日常食
助け合いで働き、休み、食を楽しむ
神仏に感謝し祝う晴れ食の日々
子どものお祝い食に地域の豊かさが結集
5 「主食」ではなく「基本食」としてとらえる
米麦、雑穀、いも、かぽちや、大豆も基本食
わらび根、おおうばゆりの球根、とち・どんぐりの実も
一汁三菜じつは、一汁全体食が多い
「おやき」の一年卜旬の幸を次々と包み込む
主婦の手の内にある「いのちの糧」の全体像-基本食の利用のしくみと料理の手法
一つひとつの料理に細やかな技と物語
たくさんの料理アイテムをつくり、使いこなすー例えば、さつまいもの利用と料理
6 旬の食材と保存物を生かす季節料理の楽しみ
畑、山、海川の恵みいっぱい「季節素材」
野菜・山菜料理-岩手 県央(執筆:及川桂子)
山菜・きのこ料理-岩手 奥羽山系(執筆:雨宮長昭)
海産物料理1岩手 三陸沿岸(執筆:大森輝)
保存ものがあって、季節料理ができる
野菜をおいしく食べる「旬」は長いー京都すぐき菜の場合
京野菜一つひとつが生きる「出合いもん」
購入食材との出合いで、地域食材が光るー塩くじらの季節料理の例
魚 副産物料理は地元だけのぜいたく
山にも海にも、季節感いっぱいの「たたき」「すりみ」料理
自然のうれしい贈りものはみんなでいただく
7 地域のおいしさを支える味覚
「伝承される味覚」とは
味噌が生み出す地域の味-麦味噌と焼き魚の「さつま」
魚の発酵食の偉大な力―野菜食を豊かに「こんかいわし」「いしり」
主婦の技と思いでふえていく漬物
ごちそうの味の決め手-皿鉢料理と「酢みかん」
今では最高の健康食-えごま・つばきなど手しぼり油
話題の食材を生んだ地域と技を見直す
8 食の個性を育んだ地域の原風景
食、自然、農業、漁業を一枚の図に
家・屋敷には食のしかけがある
長い歴史を伝える食の昔話
○大黒さまのお年取り
○カッコーになった子ども
ウエペケレーアイヌの口承文芸「食べものについての物語」
9 〈索引巻〉今の課題・関心から全国を調べる
日本の食の列島横断ガイドブック
◇第四九巻 日本の食事事典Ⅰ 素材編
◇第五〇巻 日本の食事事典Ⅱ つくり方・食べ方編
同じ料理がこんなにいろいろの名前でー子どもが野菜好きになる「おくずかけ」「だぶ」「のっぺ」など
信仰や地域色があわさってバラエティ豊かに
第3章 「和食」を伝え継ぐということ―「地域の食」を未来へ
1いま全国で、食の再発見と伝承、交流の動き
先人からの贈りものをどう生かすか
「地域の食」の掘り起こし、その多面的効果
多様な人と組織が参加した「食育のつどい」
ライフスタイルから変える静かなたたかい
2食文化は教育財産、市内に食育ネットワーク―高知県南国市
(1)「食育のつどい」にみる「地域の食」の力
食育のまちづくり宣言 / 多彩な食文化と学びあい、教えあい/ 棚田を守るための米飯給食からスタート / 山の母ちゃんの伝承料理が若い世代の宝に / 海の父ちゃんが贈る「伝承される味覚」 / 地域の農と食でいきいき学校連携―農高と小学校のつながり / 子どもたちの「食の自立」の姿が見える
(2)南国市の地域の食育 その今
中学校給食への期待/ 食育をすべての教科、活動にとり入れるー南国市立十市小学校の取組み / 食育で表現力・学力を高める / 地域の農・漁・食のシンボルが子どもを育てる / 子どもたちにかけがえのない「宝の循環」を
3 「虹の松原」の再生、松葉など有効利用のネットワーク―佐賀県立唐津南高校「松露プロジェクトチーム」の取組み
健全な松原の指標「松露」を復活しよう
小中高生や市民に広がる保全活動
自然エネルギーで地域産業の活性化を
白砂青松の海岸は先人たちが育てた
松露もまた「人が住み続ける地域環境」のシンボル
江戸時代 日本列島自給ネットワーク
4 世代を超えて引き継ごう 病院の「地域食文化」―地域の自然・農・食で患者が力を取戻す諏訪中央病院の入院食
(1)入院食で栄養回復、体力増強、お米をしっかり食べる
麻酔の治療と体力づくりの食事/ おかゆがグーンとおいしい中央病院病棟食堂のおかず / おいしい卵・魚・肉料理 茅野の素材が価値を高めている
(2)地場産物と風土・季節感を徹底的に活かす
これだけ多い人気の「味噌汁・すまし汁」とその素材 / 中央病院では入院食で「野菜好き」が増える! / 主食を一年支える料理は、長野の郷土料理「おやき」のあんと同じ役割 / ●入院食への期待 「おやき」のように地域固有の風土食
(3)病院食を人気メインディッシュ、食育のシンボルで
病院で人気メニューが誕生 / 入院患者にとって「好きなシンボル食」とは、多世代の共感 / 五、六年生か体験し、住民の感動を呼んだ「地域の自慢 納豆汁」
(4)病院食にさらに期待、懐かしい料理、食で「宝の循環」
大型野菜、豆類、雑穀等に手間かけて、印象の深いごちそう体験 / 加工食品、豆腐料理で病院メニューいきいき / 「地域の食文化」による健康増進と「宝の循環」づくりを
5 次世代に引き継ぐことー日本列島「宝の循環」ネットワーク形成へ
いま 日本列島「宝の循環」ネットワークをI食の自立、地域の自立を支えあう
大災害からの地域の再生
「貧困-不健康の循環」か「宝の循環」か
「地域の食≒地域の元気」で世界と交流