設定

文字サイズ
標準
特大
背景色
標準

書誌詳細

Amazon のサイトで見る

入門貧困論 : ささえあう/たすけあう社会をつくるために

  • 著者名金子充著
  • 出版者明石書店
  • 出版年2017.8

貸出・返却・予約状況

  • 貸出状況 貸出可能

  • 所蔵数1
  • 貸出可能数1
  • 予約数0
  • 貸出累計1

所蔵事項

  • 登録番号0073727
  • 請求記号368.2//Ka53
  • 貸出区分通常
  • 蔵書区分図書 - 一般図書
  • 所蔵館本館
  • 配架場所 開架3
  • Map
  • 所蔵状態所蔵点検済

書誌事項

  • 書名入門貧困論 : ささえあう/たすけあう社会をつくるために
  • 書名ヨミニュウモンヒンコンロン
  • 著者名金子充著
  • 著者ヨミカネコ,ジュウ
  • ISBN9784750345475
  • 出版地東京
  • 出版者明石書店
  • 出版年2017.8
  • ページ395p
  • サイズ21cm
  • 注記文献: p379-395
  • 件名貧困
    社会保障
    貧困 -- 日本
    公的扶助 -- 日本
  • 目次はじめに
    第I部 貧困とは何か
    第1章 身近にある貧困をとらえる――貧困・低所得・生活困窮の理解
    1 誰が貧困状態にあるのか?(「貧困者」という聞き慣れないことば/ 低所得者 / 「貧困線」以下の人々 / 生活困窮者 / 生活保護受給者)
    2 見えにくい貧困者をとらえる視点(ワーキングプア / 失業者 / ホームレス / 多重債務者 / 女性 / 子ども / 若者と高齢者 / マイノリティ〈傷病・障害者、性的マイノリティ、外国人)
    3 貧困の場所/貧困の経験(「スラム街」はどこに? / ドヤ街から宿泊所へー貧困の不可視化 / 「貧困経験者」の語り / 作品から知る貧困)
    第2章 何が貧困で、何がふつうの暮らしなのか――貧困の概念と定義
    1 貧困とはどのようなことか(貧困とは「受け入れがたい」こと / 「貧困」と「貧困でないこと」 / 「絶対的」と「相対的」 / 「財」と「関係」)
    2 「生存ライン」の貧困――最低限とは何か(ブースの貧困研究ー階層論 / ラウントリーの貧困研究ー最低生活費論 / 「第2次貧困」というジレンマ / 最低生活費の応用ーマーケット・バスケット方式)
    3 「ふつう」が奪われた状態としての貧困(タウンゼントの貧困研究ー相対的剥奪論 / 暮らしにおいて何が剥奪されているか / 暮らしの実態や市民の意見を重視する / 時間的・関係的に貧困をとらえるー社会的排除論 / 貧困ではなく社会的排除がつかわれる政治的意図)
    4 貧困の政治――「不正義」としての貧困を語る(貧困の「再概念化」 / 貧困者の行為主体性〈エージェンシー〉)
    第3章 社会は貧困をどう見ているか――保守化する貧困観
    1 貧しい人の肩をもつ人とそうでない人(貧困者にやさしく、でも少し厳しく / 貧困観の「転換」?)
    2 貧困者はなまけている――「自己責任論」(自助こそが社会を良くする / 劣等処遇論 / 経済成長の「おこぼれ」をまわす)
    3 貧困者が秩序を乱す――「貧困の文化論」(「美しい日本」をかき乱す人々 / 救済に値しない者がいる / 恥ずべき「貧困の文化」 / 貧困は遺伝するー貧困の優生学 / 当事者避難)
    4 個人主義的貧困観はなぜ支持されるのか(消費される貧困観 / ネトウヨの貧困観察)
    第4章 なぜ貧困が生じるのか、そして何をもたらすのか――スティグマ・不自由・不平等
    1 貧困と救済のスティグマ(烙印を押さえるー「スティグマ」とは / 自助・自己責任から逸脱する者への軽蔑 / 「社会への負荷/ 迷惑」という罠)
    2 貧困は不自由である――ケイパビリティ論(所得、幸福、生活の質 / 自由を奪われている状態としての貧困ーケイパビリティとは / 権原をもたないことによる貧困 / 積極的な自由の追求)
    3 ぜんぶ資本主義のせいだ! ――搾取と抑圧からの解放の理論(貧困は必然的・法則的に生じる / 貧困を根本的になくすには / 脱工業化社会・消費社会における「新しい貧困」 / 「本質主義」と「段階論」を超えて)
    4 格差・不平等はコントロールできる(日本が「格差社会」って、本当なのか? / 上位1%が冨を独占 / 平等・不平等は税と社会保障しだい)
    第II部 貧困対策としての社会保障
    第5章 政府が貧者をたすける理由――公的扶助の思想・理念
    1 ナショナル・ミニマム――生産主義と「最低限」(混乱しているナショナル・ミニマム概念ーその源流は? / ナショナル・ミニマムと生産主義 / 最低生活基準としてのナショナル・ミニマム / ナショナル・ミニマムの限界)
    2 生存権とシチズンシップ(生存権は「実質的」なものか / 生存権とナショナル・ミニマム / どのような意味の生存権かー社会権の広がり / 幸福追求の重要性 / 社会が市民に付与する「シチズンシップ」)
    3 セーフティネットとワークフェア(「セーフティネット」が好んで使用される背景 / セーフティネットは3つの思想的立場から支持される / ワークフェアー「就労」を導く支援 / アクティベーションー活動や参加を導く支援 / 「働かない」を支援しなくていいのか)

    第6章 公的扶助という名の貧者の管理――貧困対策と福祉国家の統治
    1 「解放」と「抑圧」の貧困対策(人々を貧困から解放する、けれど抑圧する? / 社会保障は「発展」してきたのか)
    2 近代化する欧米で救貧制度が生まれた意味(教会と国王の「施し」が救貧制度に代わってゆく / 国家の暴力を象徴する救民法 / 貧困者には労働を課すべき? / 自己責任と劣等処遇を強調する「改正救貧法」)
    3 戦争と経済成長が福祉国家をささえた(救貧から防貧へー「扶助」の誕生 / 福祉国家の形成をうながした「総力戦」 / 公的扶助の終わり?)
    4 「富国強兵」のなかの日本の公的扶助(新しい国づくりにおける救貧制度ー恤救規則と米騒動 / 戦争のための福祉は「福祉」なのかー軍事救護法 / 「労働能力のある貧困者」には救済よりも戦争をー救護法 / 生活保護に何が「移植」されたか)
    第7章 公的扶助は「恥」なのか――社会保障のなかの公的扶助
    1 公的扶助なのか、社会扶助なのか(「公的扶助」は最後のセーフティーネット? / 「公的」と「扶助」の意味 / どこの誰が最初につかいはじめたか)
    2 救貧制度から脱却できない日本の公的扶助(「社会扶助」への発展を目標に / 現代における社会扶助・公的扶助の一般的定義 / 「公的扶助」を構成する6つの要素)
    3 社会扶助における「社会」の意味を考える
    4 社会保障における公的扶助の特性――4つの視点から(保険・扶助 / 資力調査・所得調査 / 普遍主義・選別主義 / 現金給付・現物給付)
    第8章 生活をまるごと保護するとはどんなことか――生活保護の目的と原理
    1 「最低生活」を約束する生活保護(生活保護の法律と考え方 / 健康で文化的な最低限度 / 最低限度でいいのか、という問い)
    2 「自助」が基本、ゆえに資力調査をおこなう(自助および他の制度を「補足」する / 権利性を低めている資力調査 / 「適正実施」というスローガン)
    3 「自立」の支援に力を入れる(最低生活保障+自立助長とは?/ 自立助長をセットでおこなうことは誰にとってメリットか?/ 自立支援プログラムの広がり? / 公的扶助におけるソーシャルワークはどこへ行くか)
    第9章 保護は「依存」を生み出すのか――生活保護の内容・方法・水準
    1 どのような給付があり、どのような保障をするのか(生活保護の8種類の給付 / 扶助の内容にかんする論点 / 就労自立をうながす控除と給付)
    2 いくらもらえるのか、その基準は高すぎるのか?(どれくらいの水準で、どうやって決めているか / 低所得世帯にあわせて生活保護基準も下げるべきか)
    3 「実質的な権利」と義務について考える(手続的権利と実質的権利 / 住所のない人に権利はあるか / 国籍のない人に権利はあるか / 「なまけ者」や「暴力団」に権利はあるか / 働ける人に権利はあるか / 生活保護法に書かれた権利・義務)
    4 最後の最後のセーフティネットといわれて――生活保護施設(生活保護には「施設保護」という手段がある / 「廃人の収容施設」とされていた / 重複障害者や精神障害者の必要にこたえる / 地域における貧困者支援の拠点となるのか)
    第10章 生活を保護する側の論理と苦悩――ケアとコントロールのジレンマ
    1 福祉事務所と窮地に立つケースワーカー(期待されてきた福祉事務所 / 脱専門職化するケースワーカー)
    2 管理統制と低コスト化――LCC化する福祉事務所(実施要領と「水際作戦」 / ケースワーカーの裁量と権力 / ストリートレベル官僚制 / 自立支援というソーシャルワーク / 低コスト化のなかのソーシャルワーク / ラディカル・ソーシャルワークと貧困の政治)
    3 切り取られた受給者像――政府は何に悩んでいるか(生活保護受給者の数とその割合 / 受給世帯はどのような世帯か / 保護を受けはじめた理由・やめた理由 / 地域格差から見える生活保護の闇 / 逸脱への過剰反応が生み出す「不正受給」 / どれだけの貧困者が救われているかー捕捉率 / 統計による生活保護受給者の「他者化」)
    4 生活保護費は悩みの種か?――財政をめぐる実像と虚像(生活保護費はどこから、どれだけ支払われているか / 生活保護費が自治体の財政を圧迫? / カネがないから保護を削れ、でいいのかー課税と所得再配分)
    第11章 セーフティネットがたくさんあれば安心か――公的扶助の周辺
    1 「第2のセーフティネット」への期待と現実(生活困窮者自立支援制度 / 求職者支援制度 / 生活福祉資金貸付制度 / ホームレス自立支援制度 / 児童扶養手当 / 無料低額診療事業 / 災害救助)
    2 生活保護のほころびに「つぎあて」をする(「第2のセーフティネット」の位置づけ / 「防貧」なのか「救貧」なのか / 「第2のセーフティネット」は公的扶助なのか)
    第12章 ジモトに広がる「ソーシャル」なたすけあい――非政府はどこまでやれるか
    1 政府によらない支援のかたち(貧困にかかわる市民やNPO / ソーシャル・ビジネスと「新しい生活保障」 / ソーシャル・ビジネスと「貧困ビジネス」)
    2 自助グループと当事者参加(「当事者」における貧困とのたたかい / 当事者参加を導く「地域のセーフティネット」)
    3 窮地に立つ、公的扶助における「政府から非政府へ」(非政府による貧困者支援の特徴と課題 / 非政府は独立性を保ち、必要充足にかかわれるか / 政府の「見張り番」としての「非政府」)
    第13章 貧困者を生まない社会保障は実現できるか――対貧困政策の国際的動向と展望
    1 求められるベーシックインカム(現金給付のイノベーション / ロボットが働く時代の失業ー「技術的失業」は加速するか? / ベーシックインカムによる社会革命)
    2 税制を用いた所得再分配のしくみと課題(負の所得税 / 給付付き税額控除 / 参加所得などの条件付き現金給付 / BI導入実験と財源確保)
    3 海外の公的扶助はどうなっているか(公的扶助の国際比較 / 公的扶助の「レジーム論」 / 海外の公的扶助とその周辺の「厚い制度群」)
    4 所得とケアを保障する対貧困政策の充実に向けて(生活保護をベーシックインカムに代える議論の危うさ / 個別的必要に応じる「ケア」はどうするのか)
    おわりに
    文献