第5章 認知症の人が体験している身体的苦痛と緩和―進行期に必要となる視点として― A. 進行期,あるいは終末期認知症の人の苦痛とは?…平原佐斗司 1 進行期認知症の身体合併症と死因 2 末期認知症患者の苦痛と医療処置 3 認知症の進行期・末期の苦痛と緩和ケア B. 身体的苦痛の緩和―ケアを中心に―…田中久美 1 高齢者の身体的特徴 2 ケアに活かす身体的側面からみるアセスメント 3 身体的苦痛を緩和するケア C. 苦痛の評価,苦痛の観察―どうやって苦痛に気づくのか?―…平原佐斗司 1 認知症患者の苦痛評価の特徴 2 苦痛の客観的評価法 3 不快感,呼吸困難の客観的評価法 4 苦痛の客観的評価法の注意点と限界 5 原因の評価と緩和
第6章 苦痛の緩和の実際 A. 食支援と口腔衛生管理(口腔ケア)…平野浩彦 1 認知症の進行と口腔の課題 2 ADの進行に伴う口腔の課題の整理 3 認知症高齢者の緩和ケアにおいて歯科に求められることは何か B. 重度の人とのコミュニケーション法…和田奈美子 1 認知症の人とのコミュニケーション 2 重度認知症の人とのコミュニケーションの特徴 3 コミュニケーション能力のアセスメント 4 具体的なコミュニケーションの方法 5 コミュニケーションをとる上でのケアする側の態度や姿勢 C. 排尿障害…髙道香織 1 排尿状況から全身状態をアセスメントする 2 排尿行動を支え安寧な日常生活を支援する 3 頻尿に対するケア 4 尿失禁へのケア D. 排便障害(便秘,下痢)…半田美保 1 認知症の人に排便障害が生じるのはなぜか 2 どのような排便障害が生じやすいのか 3 排便障害が認知症の人に与える苦痛 4 認知症の症状による排便障害の要因 5 排便障害のアセスメント 6 排便障害による苦痛を緩和するためのケア E. 合併症 1 転倒・骨折…鈴木みずえ a. 転倒の定義 b. 転倒による骨折 c. 認知症の種類と転倒 d. 認知症の人の転倒アセスメントのポイント e. 認知症の人の転倒のプロセス f. 転倒を引き起こす認知症の人の思い(ニーズ) g. 転倒・骨折予防のケア h. 事例の検討 2 肺 炎…平原佐斗司 a. 認知症と肺炎 b. 肺炎診療ガイドライン c. 認知症における背景因子のアセスメント d. 認知症患者の肺炎時の急性期治療―ACEプログラム― e. 肺炎発症時の急性期管理とケア f. 肺炎急性期の苦痛のアセスメントと緩和ケア 3 心不全…平原佐斗司 a. 心不全と認知症 b. 高齢者心不全の特徴 c. 末期心不全患者の苦痛 d. 認知症高齢者と心不全の症状について e. 高齢心不全患者の管理 f. 末期心不全の苦痛の緩和の実際 F. 褥瘡・スキン-テア…玉井奈緒,真田弘美 1 褥瘡 2 スキン-テア 3 認知症進行期に生じやすい褥瘡とスキン-テアのケアで特に注意すること
第7章 自律尊重と意思表明・選択の支援 A. 認知症の人の自律尊重と意思表明・選択の支援とは…桑田美代子 1 生活の中における意思 2 認知症の人の意思をどうキャッチするか 3 誰にでも起こる状況や感覚を忘れない 4 自律尊重と意思表明を支えるために B. 認知症の人のアドバンスケアプランニング…高梨早苗 1 アドバンスケアプランニング 2 認知症の人のACP 3 認知症の人のACPにおけるポイント C. 認知症の人の医療同意と支援体制…成本 迅,加藤佑佳 1 医療同意能力評価 2 意思決定支援の体制づくり D. 治療の選択にフレイルの知見を活かす―臨床倫理の視点から―…会田薫子 1 治療の選択と臨床倫理 2 フレイルとは何か 3 スクリーニング法 4 フレイルの知見と評価をどのように活かすか E. 自律尊重とライフレビュー…宮本典子 1 自律尊重とライフレビュー 2 認知症高齢者に対するライフレビュー先行研究と自律尊重 3 認知症高齢者の自律尊重に資するライフレビューを実施する際の留意点 4 事 例 F. 在宅における意思表明と選択の支援…住井明子 1 訪問診療,訪問看護の対象となる認知症者像 2 意思決定支援における在宅医療・介護の強み 3 在宅サービスにおける訪問者の姿勢 4 「自分らしさ」を支える環境調整 5 中等度の認知症の人の意思表明と選択を支える 6 重度認知症の人の意思表明と選択を支える G. 高齢者ケア施設における意思表明と選択の支援…川上嘉明 1 緩和ケアが提供される場としての高齢者ケア施設と認知症高齢者への意思表明・選択の支援 2 施設で認知症高齢者の意思表明と選択の支援をすることの実際 3 高齢者ケア施設における緩和ケアと意思表明・選択の支援 H. 急性期における意思表明と選択の支援…松尾良美,平原佐斗司 1 急性期における認知症高齢者の意思決定の課題 2 事例と意思決定のプロセス 第8章 認知症の家族ケア A. 認知症の各ステージにおける家族介護者支援…小山 宰 1 家族介護者の体験と家族介護者支援の概観 2 軽度~中等度の時期における家族介護者支援 3 中等度~重度の時期における家族介護者支援 4 重度~終末期の時期における家族介護者支援 B. 教育的支援…藤田冬子 1 認知症という病気とその症状を正しく理解できるよう支援する 2 認知症の治療とケアを適切に受けられるよう支援する 3 認知症の人と家族が病を乗り越えていける力を尊重し育む C. 代理意思決定支援…吉岡佐知子 1 本人も家族も満足できる代理意思決定を目指す 2 家族の代弁者としての役割を支える 3 代理意思決定プロセスに伴走する 4 日々のケアの中でも家族とともに本人の意思を支える D. 悲嘆のケア…桑田美代子 1 認知症による喪失と悲嘆 2 認知症の人の家族が体験する「あいまいな喪失」 3 「あいまいな喪失」への支援 4 よい余韻を残すケア―日々のケアが悲嘆ケア―