タイトル | 著者 | ページ |
はじめに 実用書としての『源氏物語』 | | |
第一章 姫君の家庭教師・紫式部の教育方針 | | |
1 『源氏物語』の時代 女が生きるのは大変だった | | |
もしもあなたが平安時代の姫君に生まれたら/めでたく天皇妃になってもこんなにストレスフル/貧乏女子が結婚できない時代/シングルマザーになった紫式部/大貴族の家庭教師という職業 | | |
2 紫式部はなぜ『源氏物語』を書いたのか? | | |
後宮で大事な「サロン作り」/紫式部の立場と悔しさ/平安中期のお粗末な性教育/物語は現実を映す鏡/ダイレクトな性ではなく性に至る過程を描く/「セクハラ」や「レイプ」の頻出する世界/嫌なものは嫌と言っていい | | |
3 紫式部が「物語」を教材に選んだ理由 | | |
物語の地位向上のため自らPR/物語にこそ真実が書かれている/ヒロインの女君たちは物語から学ぶ/教科書検定のような物語選び/先の分からぬ世の中で武器となる学問/実は女子にも学問は必要だった | | |
第二章 男に大事にされ、かつ生き延びるには 紫式部が考える理想の女 | | |
1 「男に愛される女」が死ぬという設定 紫式部の真意 | | |
幸運に恵まれたヒロインの死から始まる/「男に愛される女」が死ぬ衝撃/愛されても、「なめられる女」「嫉妬に押しつぶされる女」は死ぬ | | |
2 源氏の育てた理想の女・紫の上 男に愛され、嫉妬に殺されないためには | | |
女は心が柔軟なのがいい、のか/“やはらか”だけでは生き抜けない/実は嫉妬深い「理想の女」/危機に瀕して発揮される“やはらか”な強さ/自分をないがしろにしない | | |
3 自分を大事にした明石の君 身分以上の結婚と出世をするには | | |
美貌至上主義の時代、あえて「心」に注目/働いて輝く女/デキる女は押さえるツボと自分を知っている/卑下するようで自分を尊重 | | |
4 決断力の女・藤壺中宮 人の上に立つには | | |
実は物語最強の女/決断力とは「やめる勇気」のこと/したたかな「悪女」が男に愛される/女オタクでは后になれない | | |
5 『源氏物語』に描かれる反面教師 時代後れな「理想の女」 | | |
きちんとしすぎて気詰まりな女・葵の上/重くて、相手も自分も苦しめる女・六条御息所/歌の贈答数が物語る御息所の「弱さ」/「自分を知らない女」は怖い/「自分を出せる相手」とつき合うべし | | |
第三章 職場で生き抜くには 人に認められる女になるための処世術 | | |
1 何がなくても自己肯定 | | |
自分だけは自分を見捨てない/「身の程」を知らされる扱いとの闘い/プライドが自分を守る | | |
2 セクハラ満載の社会で女が生き延びるには | | |
玉鬘に学ぶ「迫る男のかわし方」/平安男のモラルはサイテー/後ろ盾のない女の危険で過酷な日々 | | |
3 つまらぬことばも喋り方しだい | | |
乳母の良し悪しで決まる女の運命/貴族社会の常識と教養/何かを伝えるには形が大事 | | |
4 とにかく足を引っぱられないようにせよ | | |
マウンティング社会で生き抜く処世術/目をつけられないようにする/平安時代の働く女性はストレスがいっぱい | | |
5 赤の他人の親切には感謝の気持ちを | | |
いかに人の嫉妬をはね返し味方につけるか/派閥をつくることの大事さ | | |
第四章 死にたいあなたに あなたを人間扱いしない者とはつき合うな | | |
1 ダメ女たちの物語・宇治十帖 | | |
物語で最下層のヒロイン・浮舟の登場/もう一人の夕顔、もう一人の紫の上/ダメなヒロイン浮舟と「モラ夫」薫/ダメ女の目覚め/浮舟を追い込んだ元女房のえぐい会話/理想の女が果たせなかった快挙を実現/よろよろとひとり立ち上がるダメ女 | | |
2 『源氏物語』の教訓 | | |
人間は男も女も欲望のためには嘘をつく/財産目当てで結婚する男がいる/男は「二心のない人」がいちばん/偉そうに誠実ぶっている人ほど裏の顔がある/格下の女を人間扱いしない男がいる/どんなダメ人間でも生きる価値がある/「私は私」、誰かの身代わりじゃない/目的を自力で達成することが生きる喜びにつながる/自分の幸せは自分で決める/あなたを人間扱いしない者とはつき合うな/心がすれ違うのが人間というもの | | |
おわりに 「ダメ女」は実はダメじゃない | | |
かけがえのない人などいないという教え/誰かの「身代わり」にされた女が「不倫」をする/人から見てダメだっていい | | |
あとがき | | |
本書に出てくる主な物語とエッセイ | | |
参考原典と参考文献 | | |